■本:『千里眼 The Start』 |
|
千里眼シリーズは2年位前にはまって旧シリーズを一通り 大体読んだ(最後のほう残ってる)が、 こっちの角川版には手を出していなかった。 ふと思い出して、新シリーズに手を出してみる。
驚いた、というか笑ったのが、 いきなり旧シリーズの常識を否定しているところ。 心理学での研究により色々変わったことと、 よりリアリティを出したいということだけれど、 旧シリーズを読んでいた人にとってはビックリ(笑) 『目線が左上だと過去の体験を思い出している!だから○○!』 と、旧シリーズで言いまくっていたのに、序盤で 『目線が左上だと過去の体験を思い出している!・・・というのは迷信!』 みたいなこと言い出して、旧シリーズの常識崩壊!(笑 これは面白い。
そして、千里眼岬美由紀の恋愛の描き方が面白い! スーパーヒロインがいきなり身近な女性になった感じ。 本当に旧シリーズの常識を破りながら作っている感じなので、 なんとなくパラレルワールドっぽい感じかなぁ。
別シリーズとして考えれば、あまり旧シリーズとの比較は良くないけれど、 旧シリーズファンとして読むと、いくつか物足りない点が・・・。
まずは読み応え。 本自体が薄いのでサクっと読める。 千里眼シリーズは展開が速いのに、それなりのボリュームがあった(しかも2巻組、3巻組とか) ので、読み応えが充分だったのだけれど、今回は薄い! 内容が薄いわけじゃなくて物理的に薄い! サクっと読めていいんだけどねぇ。
スケールが小さくなった。 まぁ、元があまりにハリウッド的な話で、 臨床心理士が解決するにはあまりにでかすぎたから 荒唐無稽っぽい感じがする人も多かっただろうけれど、 その辺が千里眼シリーズのおもしろさだったような気が。 勿論、飛行機テロは規模が大きいんだけど解決方法もあっさりしているし、 敵との対立もなんか岬先生がピンチにならないから、 そこまでのスリルがないんだよなぁ。
解説がくどい! 新しい感情読み取り術を読者に受け入れさせるため、 そしてできるだけ裏づけあるリアリティっぽく見せたいのはわかるけど、 岬先生が、『瞳孔がナントカで、ナントカ筋がドウトカで、だから嘘!』 とか解説をするシーンがあまりに多すぎて、何だなかなぁ・・・。 1巻だからキャラクター紹介的なのはわかるんだけど、でも・・・ねぇ。
面白いは面白いんだけれど、やはりボリュームとスケールが足りない。 あとは、リアリティを出すための薀蓄がちょっち多いなぁ。 パラレルワールドとして楽しむのが一番楽しめるかな? たしかに前のままだとドラゴンボール現象で、どんどんスケールが膨らむばかり。 いったんリセットして世界を縮めることで膨らみすぎを押さえられた・・・と考えると、 スケールの大きさについてはちょっと納得か。
まだ第一作目なので、今後に期待!
No.12
|
|
|